美里01 – 蘇るマッチョフェチの性癖

「もしも、、芳くん?、、、ごめん、今日、外でご飯食べてきてくれる?、、、、律子から急にヘルプ頼まれちゃって、、、律子よ、鍼灸師学校の同期だった、、、、、、結婚式にも来てくれたでしょ、、、そう、、、去年、オープンしたマッサージ店に行ったじゃん、一緒に、、、、、バカじゃないの普通のマッサージよ、、、うん、、、、たぶん3時間くらいで終わると思うから、、、終わる時間が一緒なら外で待ち合わせてもいいし、、、うん、、、、じゃあ、終わったら電話するね、、、はいはい~」

美里は結婚して4年になる夫の芳樹との電話を切ると、律子の経営する都内のマッサージ店に入った。

鍼灸師学校を卒業してすぐに結婚した美里は、仕事としてマッサージの腕を振るうのは初めてのことだった。

「ごめんね~っ、、、急に来てもらって、、、芳樹さん大丈夫だった?」

「ご無沙汰ね、、、、あの人は大丈夫よ、私、普段からいい奥さんしてるから、、、あの人も、たまには気晴らしになっていいんじゃないかって、、、、、そんな事より、、私なんかで大丈夫なの?、、、もう4年はやってないよ実技、、、、」

筋肉フェチの美里は、野球部だった夫の芳樹の筋肉に恋をして交際が始まった。

その事を結婚式で律子に暴露されたという苦い過去もあった。

筋肉に触れられるという理由だけで鍼灸師学校に通っていた美里は、マッサージ師に興味がある訳ではなく、学校に行ってる間に芳樹と知り合い卒業と同時に結婚して家庭に入ってしまったので、技術を生かした就職はしたことが無かった。

「大丈夫、大丈夫、、、、美里なら平気よ、、、それに、ウチって著名人とかのお客が多いじゃない?、、、だから最近は、プライバシーの関係でマッサージ師は外国人だけにしてるの、だから、多少の作法や施術方法が他の店と違ってもクレームは来ないわ」

「えっ?、、、外国人って、、、私、、一応、日本人ですけど、、、日本語しか話せないし、、、」

「大丈夫、大丈夫、、、、今日お願いするお客さんは、プロ野球選手だから、、英語なんて話せないだろうし、、、ジェスチャーでなんとかできるからっ、、、、そうね~、、、美里は純日本人って顔だから、、、キルギス人ってことでいこうか」

学生の頃からお押しの強い律子に美里はいつも振り回されていた。

久しぶりに会った律子は、経営者になって更にそのパワーが増したように感じる。

「ちょ、ちょっと待ってよ、、、どこよ、、そのキルビルって」

「キルビルじゃなくて、キルギス、、、中央アジア、、、カザフスタンの下あたり、、、、キルギス人ってすごく日本人に顔が似てるんだって、、、だから大丈夫よ、、、、、はい、これがメニュー表ね、これがタオルとハーブオイル、、あとごめん、白衣が足りてないから、そのままその服でいって」

「もう、相変わらず強引なんだから、、、、」

律子に押し切られたように装う美里だが、実はお客がプロ野球選手という情報に筋肉フェチの血がドキドキと騒ぎだしていた。

お店の電話が鳴り、説明をしながら律子はソワソワし始める。

「じゃあ、よろしくね、、、お客さんは、、そこに見える大きなホテルあるでしょ、、、そこの1805室でお待ちだから、、お名前は加藤さん、、、、、はい、もしもし、トニートニーマッサージでございます、、、」

「えっ?、、お店で施術するんじゃないの?、、、ホテルって、、、、もぉう、襲われたら、、助けに来てよぉ、、、、」

律子はお店の電話を肩に挟みながらジェスチャーで手を拝むように合わせたあと、自分の手首を指差し、最後に両手の人差し指を立てて頭の上に乗せた。

(ぷっ、、どういう意味よ、、、、はいはい、行きますよ、、、、まったく、、、、律子は本当にマイペースねぇ、、)

美里は、携帯に『1805、加藤』とメモをしてホテルに向かった。

横断歩道を渡る美里は、平静を装っているが内心は胸がザワついていた。

久しぶりに仕事をするということに加え外国人のフリをするいうこともあるが、自分で発した『襲われたら』という言葉に異常に反応してしまっていた。

海外勤務を希望している芳樹の仕事の関係で子供をつくる時期を考えている間に避妊がなんとなく面倒になり、ここ2年ほど夜の生活がご無沙汰になってしまっていた。

そんな美里にとっては男性に触ることでさえテンションが上がってしまう。

それもプロ野球選手の筋肉に触れることが出来るなんて、筋肉フェチの美里にとっては高級フレンチのコース料理にも勝る御馳走だった。

「ナイスチューミーチュー、、アーユー、カトウ?」

高校の授業で使って以来の英語を口にして、キルギス人になる準備をする。

昔から優等生タイプの美里は、キルギスについても携帯で検索をしながらホテルへ向かう。

(中央アジア、、、旧ソビエト連邦、、、北にカザフスタン、、、隣が中国、、、、、、あ、ホントだ、、、みんな色白で日本人みたいな顔してる、、、、、あ、このホテルね、、、いい部屋に泊まってるなぁ)

初めて入るホテルのロビーで美里はエレベーターを探した。

美里02 - 女性扱いされる喜びと戸惑い
高い天井に高級そうなシャンデリア、全てが気品に満ちた空間に見える。 ホテルのコンシェルジュと目が合うと悪いことをしている訳ではないのに、ついつい挙動が怪しくなってしまう。 (あった、、、エレベーター、、、、、えーと、、18階か、、) ...