典子14 – 変な期待しちゃダメだよ

翌日のサプライズプロポーズは、感動の大成功となった。

晴れて婚約者となった2人を祝福する真弓と典子、そして山田の笑顔は、どことなくぎこちなかった。

仕掛け人として、同じテーブルに座る3人は、感動を共有したくて時々目が合うのだが、直ぐに照れて目を逸らしてしまう。

特に事務的な会話以外はないまま、お開きとなり山田がレストランの外まで2人を見送る。

「あ、そうだ、、、温泉のコテージ、、予約とれたけど、、、どうします?、、、、、、あ、いや、、そんな深い意味はなくて、、キャンセルもできるから、、、いや、僕が行きたくないという意味じゃなくて、、、あ、違う、、一緒に行って、その、なんか期待してる訳じゃなくて、、、あー、違う」

何も喋ってくれない2人に、1人でテンパる山田を見て2人は顔を見合わせて笑った。

「どうしたの、山田、今日はよくしゃべるね、、ありがと、行こうよ3人で、、、、あ、でも変な期待すんなよ、、この前は、私たちもどうかしてたんだから」

山田は、また喋らなくなりウンウンと大きく頷いた。

じゃまた月末に、と3人は別れた。


その月末の土曜日、真弓と典子は、山田が運転する高級車の後部座席に並んで座り、目的の温泉地に向かっている。

SNSのグループチャットで、事前に情報交換していた3人は、文字上では、普通に会話するようになったが、実際に会ってみると会話が続かなかった。

「山田ってさぁ、、、いつもこんな高級車を乗り回してるの?」

沈黙に最初に耐えられなくなったのは、やはり真弓だった。

「え、いや、、これ親に借りてきたんです、、、、そんなに車が必要な時は無いので、、、、友達を乗せるのは始めてです」

真弓と典子は、揃って同じ事を考えていた。

『友達、、、、』確かに、この関係を一言で表すと友達だ。

彼氏でも彼女でも無い、幼馴染でもチームメイトでもクラスメイトでも無い、セックスした訳でもないので、セフレでも無いし、そう言われるのも嫌だ、親友とも少し違う。

他の言葉は思い付かなかったが、なんとなく寂しい感じがした。

「あ、いや、友達とゆうか、、、、えーと、、、、あれ?、、、えーと」

山田も同じ事を考えていたようだが、考えても答えが出なかった。

「えー私たち友達なのぉ~、、、、山田、ひどーい、、もういいよ、友達でぇ~」

困る山田を茶化す真弓と典子は、笑っていたが同じ感性を持てる、この言葉が見当たらない関係を、心地よく思っていた。

3人の距離感が、急にあの時の雰囲気に戻った。

「ねぇねぇ、山田ぁ、この温泉の混浴に行ったことある?、、、、どんなとこ?」

真弓が、運転をしている山田シートに抱きつき、バックミラーに映る山田に向かって話しかける。

「ぼ、僕は、その混浴には入ったことないけど、温泉から川が見えて、景色がいいとこだって聞いてます」

山田は、ミラー越しに答えるが、振り向けば、顔がぶつかるほどの距離にいる真弓から漂う匂いに、いろいろな期待が止まらなくなってしまう。

「例のアレ、本当にやるからね、、頼んだわよ、、、その代わり、付き合ってくれたら、約束通り、後で、、、、ご褒美あげるからっ」

山田は、無言のまま、大きく2回頷いた。

典子は、その会話を聞きながら、黙ってうつむき緊張した顔をしている。

「あっ、アレじゃない?、、ほら、あの看板」

真弓が暗闇の中に光った目的地の看板を見つけ、典子の膝を叩く。

典子も身を乗り出し、真弓と同じように助手席のシートに抱きつく。

ミラーに映る2人の笑顔に、山田も楽しくなってきた。

到着すると、山田がコテージの鍵を受け取りに受付に向かう。

「ノリ、怒ってるの?、、、、山田のご褒美に、エッチするのを勝手に決めたから?」

言葉数の少ない典子を気にして、真弓が典子を覗き込む。

「え、、あ、それは、全然オッケー、、この前、あそこまでしたんだから、もう、するもしないもね、、、、それより、真弓、、、いいの?本当に、一緒に混浴になんか、、、?」

真弓の心配は、検討違いだった。

典子は、これから、混浴に入って男性に裸を見せることに緊張していたのだ。

「あーそっちね、、、あんな、投稿サイトみたいに、男が群がって見てくるみたいなこと、あるわけないでしょ?、、どうせ、遠くからチラチラ見てくるくらいよ」

そんな堂々とした真弓を見て、典子は少し落ち着き笑顔を取り戻す。

山田が、小走りで帰ってきた。

なぜか、スキップしているように見える。

「もう夕食の支度が出来てるそうです、、このまま食べてもいいし、荷物置いてからでも、先にお風呂入ってからでもいいって、どうします?」

山田がドアを開け、顔だけ覗かせて聞いてきた。

リーダーシップのある真弓が、『荷物置いてから』と言ったので、山田は車に乗りコテージに向かった。

一戸建てのログハウスのコテージに到着すると、山田がカギを咥えて全員の荷物をトランクから取り出し運び出した。

「山田、1泊なのに、なんなのその荷物の多さは?」

真弓が、山田の黒いバックを奪い取り、歩きながらカバンを開けようとする。

『あっそれは』と言う山田を無視して、ゴソゴソの中を確認する。

「うわっ、これっ」

真弓は、コテージのカギを開けた山田を押しのけて中に入ると、2つ並ぶダブルベッドの手前の方に、カバンをひっくり返し中身を全部出した。

『なになに?』と典子も寄ってきたが、それを見て動きが止まる。

「や、山田、、、あんた、、、また、資本力にものをいわせたわね、、」

ベッドの上に転がったのは、数々の大人のおもちゃだった。

全てがまだ開封されていないので、この日のために山田が、わざわざ買ってきた物だとわかった。

「あんたね、、、そりゃ、私が、おもちゃに少し興味があるとは言ったけど、、、はは、ご丁寧に、、全種類2個ずつ買ってるし、、、」

典子が、チャットで、おもちゃ使ったことないけど、少し興味があると発言したのも覚えていて、山田が忠実にリクエストに応えたのだ。

典子15 - リモコンバイブの使い方
「何に使うのよ、このアイマスクとか、ロープとか、ビデオまで、、なんか、山田の趣味を垣間見たわね、、、、あっ!、、、、コンドームが二箱も、、なに、この薬、うわ、バイアグラまで、、山田ぁ~、、どんだけ頑張るつもりなのよ、、、、ま、今日は、コンドームは使うこ...