千春02 – 仕組まれた完全シナリオ

翌朝、千春が目覚めると既に右手がパジャマのズボンの中にあった。

既に身体はそうゆうモードになっている。

(あぁぁ、、また、しちゃってる、、、)

夢と現実とが入り混じるような目覚めの狭間で、千春はそうゆうモードになってしまうようだった。

そして、ちゃんと目覚めた時には両手の自慰行為が既に始まっている。

千春のそれはいつもそんな感じで始まった。

自慰行為と言っても、ショーツの上から陰核の周辺をゆっくり撫でたり爪で掻くように擦るだけで、オーガズムを迎えた経験もなくオナニーと言える程でもなかった。

しかし千春はいつもこんな自分に対して自己嫌悪に陥ってしまう。

しかも今日の自己嫌悪にはもうひとつの理由があった。

薄っすらと記憶に残る頭の中の映像。

昨日の部活でギラリーが群がる体育館での風景に妄想がシンクロし、大歓声の中で演技する千春自身を俯瞰で見みている映像だ。

なんとその中心にいる千春は何も着ていなかった。

そう、たくさんのギャラリーの前で裸になって演技しているのだ。

千春はそんな羞恥的な妄想をしてオナニーをしてしまった自分に自己嫌悪に陥っていたのだ。

(わっ、私、、なんて事を想像して、、、始めちゃったの?)

自己嫌悪に陥りながらも手は止まらずショーツの上からではあるが、陰核を中心に指の腹全体で円を書くようにゆっくり快感を引き出していく。

だんだんと快感が膨張していき、身体の奥から何かが迫ってくる感覚に千春は恐怖した。

それがオーガズムだとは知らず、いつもここで手を止めてしまう千春だった。

(あぁ、まただ、、またこの感じになった、、、私、やっぱ、おかしいのかな、、、、お風呂で洗うときは直接触っても気持ちよくないのに、なんで今は気持ちいいの?、、、私の中に、、もう一人の自分がいるみたい、、、)

ピピピピッ ピピピピッ

目覚ましと同時に亀裂から愛液をふき取り、千春は学校に行く準備を始めた。

(それにしても、2日連続でしちゃうなんて初めてだなぁ、、、もうすぐ生理だからかなぁ)

器械体操部の女子部員はコーチからの指示で基礎体温と生理の周期を記録するように推奨されたアプリを使っていて、今では千春も自分の生理をかなり正確に予測出来るようになっていた。

(そうだ、今日は診察券を持っていかないと、、、そういえば、若林君が股関節改善なんとかって言ってたけど、、、あれって、、なんのことだろ?、、、)

千春は昨日の若林の言葉を気にしつつ学校の準備を始めた。


その日の放課後、スポーツクリニックの受付のソファに千春と若林が座っていた。

髭グマのクリニックはスポーツ整形外科専門のクリニックだけあって、あの病院独特の消毒液のような嫌な匂いもなく明るく清潔感のあるクリニックだった。

千春は間接照明の天井を見上げながら少し緊張した顔色で診察の順番を待っている。

「伊崎さーん、若林さーん、2人まとめて診察室にお願いしまーす」

受付の女性に呼ばれた2人は、顔を見合わせて2人まてめて入ることを不思議がりながら診察室のドアを開けた。

診察室には、髭グマの後ろ姿があった。

何かカルテのようなものに向かって一生懸命に記入しているようだ。

髭グマと呼ばれるこのクリニックの院長は、若くして開業医になった優秀な医師と評判が高い。

髭グマと呼ばれるのは苗字が『猪熊』でいつも無精ひげを薄っすらと生やしているだけで、熊のような体型をしている訳ではなくどちらかと言うとスラッとしたスポーツマンタイプであった。

「先生、、こんにちわぁ、、、」

「はい、こんにちは、、、伊崎さんの3ヶ月後診断は問診だけだから、若林さんと一緒に股関節改善特別プログラムについて説明しちゃいますね」

2人の挨拶に振り向いた髭グマは、不思議そうな顔をしてる千春をよそに唐突に説明を始めた。

「股関節専用の矯正筋緩マシンという特殊な装置がありまして、名前をSNDMと言い世界で200以上の病院やクリニックで採用されてます。簡単に言うと股関節を柔らかくするトレーニングマシンですね。多くのスポーツで股関節の柔軟さはパフォーマンスを向上する為に非常に重要と言われてますし、逆に硬いと故障の原因になり易いです。伊崎さんもそうでしたね。」

髭グマが千春を見つめたので、千春は反射的にうなずいた。

しかし、急な話しの展開と専門用語が並ぶ髭グマの説明に着いていけない千春だった。

「あの大リーグで活躍している鈴木選手や女子器械体操のメダリスト有村選手、それ以外にも世界中のたくさんの名選手達が、まだ無名の時に採用して一気に才能を開花しています。」

畳み掛けるように説明される声をボーっと聞いていた千春だったが、最後のキーワードにピクリとした。

「えっ、あの有村がですか?、、、そのマシンを使ったの?」

千春が器械体操を始めたきっかけは有村選手だった。

中学の時に少しイジメられて落ち込んでいた時期に勇気づけられたのがテレビに映った有村選手の演技だった。

ドキュメント番組で知った有村選手のイジメられていたというエピソードに、自分の境遇と照らし合わせいつしか人生の目標になっていた。

男2人は、アイコンタクトをして若林が話しを続けた。

「マジでっ?、、、あの鈴木や有村は、このトレーニングをやったから今の活躍があるんですか?、、、俺、いろんなスポーツ誌を読んでるけど、そんな話しは聞いたこともないですよ」

うんうんと千春が若林の話しに相槌を打ち、興味津々な目を輝かせた。

「それはねぇ、、、実は特殊なトレーニング方法を取り入れているからなんだ、、、、もちろん危険なドラックとかを使う訳じゃなくて特殊なマイクロ波と振動で筋肉と靭帯を一時的に融解状態にして、60日間かけてゆっくりと柔軟な状態に定着させるトレーニング手法なんだけどね、、、、、」

いかにも言いずらそうな間を開けて髭グマが話しを続ける。

「そのトレーニングを受けた人はみんな、その効果を大絶賛するんだけど、その事を誰にも話したがらないんだ、、、、、トレーニングも相当辛いしね。」

また髭グマが、若林を見たので若林が応える。

「なっ、なんなんですか、その特殊な方法というのは?」

若林の棒読みな感じが気になる髭グマだったが、人指し指で天井を指差しながら続けた。

「実際のマシンが上にあるから見ていきますか?」

「はい!見たいです!」

勢いよく答えて立ち上がる若林につられて、千春も頷きながら立ち上がった。

髭グマに連れられて千春と若林はクリニックの2階に上がって行く。

「クリニックにトレーニングマシンを置くスペースがないから、患者さんはいつもここでこのトレーニングをやってもらってます。」

2階の玄関を入るとそこには成功者の証と言わんばかりに小動物の剥製が飾られている。

一軒家のクリニックは2階が自宅になっており、バツイチ男の一人暮らしの割にはあまり生活感のない清潔な印象の部屋だった。

部屋を進みながら説明を続ける髭グマに千春はキョロキョロしながら後を付いていく。

「ここは本当は自宅なんだけど、バツイチで一人暮らしなので部屋が余ってるから、ちょうどいいかなーってね。」

この日、髭グマが初めて事実を話した瞬間だった。

そう、これまで2人に力説していた特殊なトレーニングの事や、鈴木選手や有村選手の話しなどは全て作り話しだった。

もちろん、これから見せるトレーニングマシンも偽物だ。

「これがこの地区には、ここにしかないSNDMです。5000万円もしたんだよ。」

髭グマが指差す先に産婦人科にあるような診察台があり、その中央にMRIを小さくしたようなドーナッツ型の機械が備わっていた。

髭グマがこの日のために自作したもので、ドーナッツ型の機械に見える物体は中に何も入ってないただプラスティックの張りぼてだった。

千春03 - 男たちに弄ばれる純粋少女
「先生、SNDMってなんの略ですか?」 笑いをこらえるような表情で若林が質問した。 「なんだったっけなぁ、忘れちゃった」 部屋の隅にあるテーブルで何かを探しながら髭グマがそっけなく答えた。 「これ...