千春03 – 男たちに弄ばれる純粋少女

「先生、SNDMってなんの略ですか?」

笑いをこらえるような表情で若林が質問した。

「なんだったっけなぁ、忘れちゃった」

部屋の隅にあるテーブルで何かを探しながら髭グマがそっけなく答えた。

「これがトレーニングに使う重要な器具です。」

30cmほどの棒状の先に卵のような形状のヘッドが付いたシリコン素材の器具を2人の目の前に差し出した。

若林が、『ヘェ~』と手を出して触ろうとすると髭グマは慌てて手を引っ込めた。

「ダメダメ、これはすごく繊細な器具で、前に一度壊れた時に修理代に200万円もかかったんだから」

「ひぇ~っ!修理代に200万円もかかるんですか?」

わざと強調するかのように若林が繰り返した。

どうやら若林もこの作り話しの共犯のようである。

「実はこの器具を肛門から入れてトレーニングするんだ。」

いよいよ核心を話し始めた髭グマは、千春の顔色を伺いながら慎重に言葉を選びながら話し出した。

「えっ!肛門?!」

千春が言おう思った同じ台詞を若林が先に言った。

肛門という言葉を口にするのを少し躊躇した千春の方が遅かった。

高揚した顔の髭グマは、努めて淡々と進める。

「この器具の先端から発せられる、低周波、超音波、振動、そして特殊なマイクロ波などの特別な電磁波を照射することによって股関節に一番近い身体の内側から、そして外から別の器具とで挟み込むようにトレーニングしていくんだよ。かなり過酷なトレーニングになるけどその分効果は絶大なんだ。」

しばらくの沈黙のあと若林が続く

(あ、次は俺の番か)

「肛門にこれを入れるって、、、、あっ!だからトレーニングを受けた選手達は、恥ずかしくてこの事を公表出来ないんだ!なるほどねー」

話し終わって千春の方をみると、驚きと納得した感情が入り混じるような顔で口をポカンと開けてゆっくりと頷いていた。

「僕はこのトレーニング方法を、前にいた大きな病院の頃を含めると800人以上に施術して来たけど、まったく情報が広まっていないという事はそういう事だね。」

男2人のテレビショッピングのような絶妙な掛け合いは続く

「でも、治療費って高いんでしょう?」

「で、ここからが本題なんだけど」

肛門に器具を入れるという問題はもうクリアしたかのように議題を先に進める髭グマだった。

「実は、このトレーニングのおかげで成功して沢山お金を稼いだ選手達が、匿名でお金を出し合って基金を作ったんだ。将来有望な若い選手は無料で、このトレーニングが受けられるようになってる。僕のような医師や協会認定のトレーナーからの推薦状があれば、このトレーニングを受けられるんだ。」

「え!?無料?俺やるよ。先生、俺を推薦してよ!」

若林が千春の前に出て、髭グマの正面で手を合わせながら頭を下げる。

「俺、オリンピックで金メダル取るのが夢なんだ!、、千春はこんなトレーニング辛いだろ?、、、やめとけよな、、、、先生、俺を選んでくれよっ!」

若林がまくし立てるように懇願する横で、あまりの展開の早さに頭が整理できない千春だった。

「え?、、私だってオリンピックで金メダル取るのが夢なのよ、ズルいよ若林君だけの先に決めて!」

千春は、子供の頃から母親が苦労して稼いだお金で養ってもらったので、将来お金を稼いで母親に裕福な暮らしをさせてあげるのが夢だった。

中学の時に見た有村選手の金メダルを取る演技で感動した千春は、その後CMに何本も出演する彼女をみて絶対にあんな選手になりたいと決意して高校から器械体操を始めたのだった。

「まーそうだね、オリンピックに出たいなら、このトレーニングは避けて通れないだろうね、、、、特に伊崎さんは、、、、」

髭グマは内心ニヤリと笑って仕上げにかかる。

「僕は、これまでに何百人と体操選手を見てきたけど、伊崎さんの筋肉の質やバランス感覚、そして容姿を鑑みると股関節の柔軟性が備われば確実に世界レベルの選手になれる素質があると思ってるんだ。」

実は、この評価は千春達のコーチである笹野麻奈実からの受け売りであった。

それに毎日ちゃんとストレッチをしていれば、こんなトレーニング無しでも股関節は柔らかくなる。

「じゃあ、私を推薦してくれるんですか?」

生まれて初めて専門家からこんなにも褒められて、夢が現実になる可能性をみた小春は完全にトレーニングをやりたいという思考で頭が固まってしまった。

「おいおい、誰も1人しか推薦出来ないなんて言ってないぞぉ」

「え、2人とも推薦してくれるんですか?!」

若林も最後の王手をうった。

「そのつもりじゃないと、2人に説明なんてしないよ。どうだ2人でオリンピックに出てみないか!トレーニングはかなり過酷なだけど、頑張れるか?」

髭グマは、大きな声でクロージングをかけた。

「はいっ!」

2人は息を合わせスポーツマンらしく溌剌とした返事をした。

これで2人が仕組んだ罠は完成し千春の地獄が始まることを確定せてしまった。

千春は、肛門に器具を入れるということだけが脳裏に残っていたが、普段の練習でも無理だと思っている回数のトレーニングも時間と共に消化していき辛い練習をすればするほど自分の演技が向上していることを思い出していた。

あの有村選手をはじめ何百人もの選手がこのトレーニングを受けて活躍している思うと、どんなに辛いトレーニングでも耐えられないハズはないと確信していた。

この髭グマの描いたシナリオは、スポーツマンの心理をうまくついた卑劣な策略だった。

千春04 - 処女喪失の確定フラグ
翌日の土曜日の朝、千春はまた目覚まし時計より早く目が覚めていた。 (昨日は勢いで、トレーニングを受けると言っちゃったけど、良く考えると髭グマにお尻を見られるって事よね。お尻どころかアソコも見られるかもしれない。) 男性に大事なと...