(えっ、、、、えっ?、、、、、どういうこと、、スカートの中を覗こうとしてるの?、、、)
男子たちの微かに聞こえる足音が、確実に恵梨の下半身の方に移動している。
(えっ、、どうしよ、、、えっ、今日のパンツなんだっけ?、、、あ、そうだ、、、今日、先輩となんかあるかもって、ピンクのブラとお揃いの奴にしたんだった、、、、、、よかった可愛いパンツで、、、、、、、いやいや、よかったじゃなくて、、、、どうしよ、、目を覚ました方がいいかな)
今となっては元カレになってしまった先輩の為に、背伸びをして選んだ生地の薄いショーツ。
普段は履かない裏地のないレース生地の『大人のショーツ』が、恵梨の不安感をさらに煽る。
男子たちにスカートの中を覗かれると思っただけで、心臓がバクバクと音をたてる。
自分から寝たフリを初めてしまった恵梨は、足を閉じることも出来ず、目を閉じたまま足元の男子たちの気配に集中するしかなかった。
(やだ、、確実に何人かの男子が私のスカートを覗いてるわ、、、やっ、、恥ずかしい、、、今、目を覚ましたら、なんか気まずい気がするし、、、どうすればいいのぉぉ、、、)
戸惑いながらも寝たフリは止めない恵梨は、鼻で大きく息をして小さな鼻音を出す。
さすがに演劇部だけあって、寝ている演技にも長けていた。
恵梨の寝ている雰囲気に安心した男子たちが、少しずつ四つん這いで近づいていった。
(えっ?、、、ウソッ、、え?、、、なに近づいてきてんのよ、、やだ、、、そんな近くで見ないでよ、、、、やだ、、近すぎぃぃぃ)
もう足元の30cmほどの距離まで気配を感じる男子たちに、恵梨の羞恥心と緊張感はマックスに達していた。
その時、恵梨の脳裏に蘇った記憶は、なぜか小学校1年生の時の教室の風景だった。
どこの小学校でも一度は訪れる『スカート捲りブーム』。
その頃の男子にパンツを見られた時の甘酸っぱい記憶が、何故か記憶の奥底から蘇ってきた。
何度も繰り返される『スカート捲り』に、言葉では嫌がりながらも次第に変な気持ちが芽生えて来たこと。
自分ばかりターゲットにされる事に表面上は悩みながらも、実は悪い気はしていなかったこと。
背後から男子の気配を感じながらも、スカートを捲られるまで気付かないフリをしていたあの時の自分と、今の自分の状況が完全にリンクしてしまった。
(だめ、、、、こんなのダメよ、、、、近い、、、、近い、近い、、、、そんなに近くで見ないで、、、、、、だめぇ、、、)
恵梨は自分の深層心理にブレーキをかけるように寝返りをうった。
横向きに姿勢で自分の腕を枕にすると、体操用マットから少しカビ臭い匂いが漂ってくる。
恥ずかしさのあまり顔を伏せると、恵梨の綺麗なストレートヘアーが顔に被さる。
いつもベッドで寝ているような自然な姿勢を装うために、両足を『くの字』に曲げると、少し熱を帯びだした陰部に冷たい空気が流れ込んだ。
(え?、、、、いまスカートどうなってる? えっ?)
恵梨は下半身に全神経を集中して、スカートとショーツがどうなっているか想像する。
恵梨が寝返りをうった途端にガサッと散らばった男子たちが、恵梨の寝ている様子にまた近くに集まる気配がした。
(え?、、、お尻、、、見えてるよね、、、やだ、、汚れてないかな、、)
制服のミニスカートの裾から生地の薄いピンクのショーツが見えていた。
少し下から覗き込むと、陰部のあたりが、ぷっくりと盛り上がっているのがわかる。
生理前の恵梨は、陰部の汚れが外に浮き出ていないか気になっていた。
(やだ、、、、見ないで、、、)
その時、子宮の辺りから切ない感覚が芽生えてくる。
それは小学生の頃のスカートを捲られたあの時に、抑制していた『なんとなく芽生えさせてはいけない感覚』に似ていた。
「なんか、すげーパンツだな、、、」
「やばいって、、やめとけよ」
「大丈夫だって、、、寝てんじゃん」
男子たちが、小さな小さな声で言い争っている。
(えーっ、、、、え?、、、、ウソ、、、、、えーっ?、)
男子部員の誰かが、スカートの裾を摘まんだ感覚が恵梨のお尻に伝わる。
(え?、ウソでしょ、、、バカ、死んで、何やってんの、、、、目を覚ました方がいい?、、、手で隠した方がいい?、、、ウソ寝がバレる?、、、今までワザとパンツ見せてたと思わるかな?、、、えっ、ヤダ、、、このパンツのお尻って、ほぼ丸出しだよね、、、ヤダヤダヤダ、、えっ?、、、、えっ?、、、)
たった数秒の間に恵梨の思考はたくさんの自問自答を繰り返す。
考えながらも結論が出せず、動けない恵梨のお尻に、スカートが持ち上がっていく感覚が伝わった。
既にお尻は完全に露出してしまっているに違いない。
目をつむっていても分かる、男子たちの熱い視線に恵梨は狼狽えた。
「めっちゃ、エロい、、、、、」
男子たちの思わず漏れた声が部室に響き渡り、恵梨を含めた6人の間に緊張感が走る。
たった数秒の静寂が、恵梨にはとても長い時間に感じられた。
「恵梨ぃ、、、そろそろ起きろーっ」
スカートをバッとお尻に被せながら、部長の藤原が恵梨を起こす。
他の部員たちは、足音を忍ばせながら慌てて散らばった。
(え?、、、起きていいの?、、、、、え?)
一瞬の出来事にどう対応していいかわからない恵梨。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ
「はい、はい、いつまで寝てんだ、、、恵梨、、起きろー」
手を叩いて恵梨の上半身に寄って行く藤原。
「んん、、、、、んぅーん、、、、あ、寝てた?、、、ふぁ~」
恵梨はムクッと起き上がり、女の子座りで目を擦る。