シャワー室のドアが開くと、そこから出てきたのは運悪く万理と不倫をしていた岡田教授だった。
「おっ、万理、、じゃなかった、、八栗先生、、、お、お久しぶりです」
周りをキョロキョロしながら話しかける岡田を見て万理は一緒でイラッとした。
「あ、お疲れ様でーす」
万理は笑顔でそれだけ言ってシャワー室に入る。
「何よ、あの腫れ物に触るような態度は、、あー、頭くる、、ほんと、別れて正解だわ」
万理が白衣を脱いでいるとガチャとまた扉が開いた。
「あのー、八栗先生、、プレートを出すの忘れてますぉー」
岡田がドアの隙間から顔だけ覗かせて言った。
「ご心配なく、今から出すつもりです」
そう言って『女子使用中』のプレートをドアに掛けるとバタンと勢いよく閉めた。
万理は『フゥー』と大きく息をして自分の怒りを収めた。
急いで服を脱いで個室に入るとシャッとビニールのカーテンを閉めてお湯を出す。
「やだ、、、精液が、、ヌルヌルしてる、、私、、中出しなんて、人生で2度目だわ、、」
万理は陰部に指を入れジャブジャブ洗った。
「あぁぁ、、でも、さっきのセックス、、少しの時間だったのに、、なんであんなに気持ち良かったの?、、、、あぁん、、、」
陰部を洗う指が次第に愛撫の動きになってくる。
「男の人のアソコを舐めるのも、、あんなに気持ちいいなんて、知らなかった、、、あ、、、私、、チンコ入れてとか、言ってたし、、、やだ、恥ずかしい、、あぁ、、ん、、だめ、、声が外に漏れる」
『チンコ』という単語を、口にするのは、きっと中学生以来のことだった。
羞恥に震えながらも万理は、だんだん妄想の世界に入り始める。
「やだ、、もし、、私のオナニーの声を聞いて、、人が入ってきたら、、、、また秘密にする代わりに、、フェ、フェラチオさせられるかも、、、、あぁぁ、、ん、、、きっと、ここで、立ったまま、、後ろから、挿入されるわ、、、、、、、、あ、そうだ、、もし私が、うっかりプレートを出し忘れたら、、、、きっと男の人が、間違って入ってくるわね、、、あ、、ん、、、や、、イキそう、、、はぁぁ、、、ん、、あぁぁ」
ジュボッ、グジョッ、グヂュ、
愛液と精液とお湯が混ざり合いシャワー室にやらしい音が響く。
万理は高橋との中出しセックスの余韻と、羞恥な妄想をオカズに絶頂に向けて指の速度を上げた。
「はぁ、はぁ、、、あれ?、、イキそうなのに、、やぁぁ、、なんか、、なんか違う、、、気持ち良さが、、さっきまでのエッチと違うっ、、やぁぁ、イケない、、はぁぁ」
これまでのオテイ虫から与えられる快感とは明らかに違う気持ち良さに、万理の身体は物足りなさを感じて絶頂を迎える事が出来なかった。
「はぁん、やだぁぁ、、気持ちイイのに、、やぁ、イケない、、え、、オテイちゃん、、洗い流しちゃった?、、ウソっ」
万理は慌てて排水溝のあたりを探すがそれらしいものは無い。
「はぁ、はぁ、もう、これ以上は、、、本当にやめなきゃ、、外に聞こえちゃうわ、、」
万理は絶頂を迎えられない身体をなだめながら身体を拭いてショーツを手に取る。
「やだぁ、、高橋くのが、ベッタリ」
精液の付いたショーツを洗面台で手洗いするとノーパンでズボンを履いた。
「あぁぁ、、精子の匂いって、、こんなにいい匂いだったかしら、、」
精子の匂いにうっとりしながらも身なりを整え、誰か外に居ないかドキドキしながらドアを開け外をキョロキョロ見渡す。
「やだ、、私、、、何を期待してんのよ」
万理は1人で顔を赤くしながら、いつものように自販機でカフェオレを買って研究室に戻った。
「やっぱり、さっきのって、、、、、オテイちゃんたら、、精子を食べてお腹がいっぱいになったら、活動しなくなるの?」
カフェオレを飲みながらボイスレコーダーを手に取ると、今日の醜態を思い返しながらレポートを録音する。
「寄生5日目、、また日没と共に、性的欲求が高まり、、じ、自慰行為を始める、、、また、アクシデントにより、男性に裸、、、、胸や性器を、見られることで、、恥ずかしさに、、せ、性的な欲求が、さらに高まる、、、、男性器を口で、、愛撫、、、、咥えることで、、男性器を、、そ、挿入や、、、しゃ、射精、、、、、射精を受ける欲求が、強くなる、、、うぅ、、」
万理は言葉が詰まりここでレコーダーの停止ボタンを押した。
「やだ、、私、、、なんてことを、、、」
万理は自分の痴態を改めて思い返し身体が勝手に震えだした。
「この後、、、高橋くんの、、アソコを自分で挿れたんだっけ?、、、あぁぁ、、どこまでが、オテイちゃんの影響なの?、、」
オテイ虫の影響で性的欲求が高まる事を、ある程度は確信し始めた万理だったが、この研究結果の発表を考えると羞恥心が沸々と湧いてくる。
「いくら、オテイちゃんの影響って言っても、、寄主の個人差は、きっと、あるはずだし、、、、もし、他のサンプルの女性が、、こんなに淫乱にならなかったら、、、、、やだ、私が、もともとエッチな女の子だからって事になるじゃない、、、」
万理は研究者として客観的にサンプルの身体を観察する自分と、恥ずかしい身体の反応を認めたくない自分との狭間で戦っていた。
オテイコックス

概要

ジャンヌ博士の論文によると、この寄生虫は雌犬の子宮にのみに寄生する。
また、中央アジアの砂漠に住む遊牧民が、古来よりオテイ虫から薬を抽出する技術を持っており、この民族が近隣の民族よりも遥かに寿命が長いのは、この薬の影響が大きいと発表された。
また、それに伴って出生率と性犯罪率が激減することから、長寿の副作用として、生殖本能が減退するという仮説が論文に記されている。
論文と生態

オテイ虫の生態には諸説あり、栄養を雌の排卵から摂取する説と、雄の精子から摂取する説とがある。精子説は、排卵説に比べ摂取するサイクルが不規則な為に、大方の学者は排卵説を唱える。
また、オテイ虫は、子宮に寄生してから数ヶ月後の産卵期に寄主の体内から外に出て体毛に産卵し、産卵後はそのまま死滅することからも、寄主に危害を与えるような危険な寄生虫ではないとされる。
ジャンヌ博士

この当時には珍しい女性生物学者のジャンヌ博士は、研究者としての地位を確立するために男装し、男として研究者になったことで知られるが、この論文発表時に突如として女性であること明かす。また、この論文発表の半年後に自宅で薬物自殺をしたことから、謎めいた論文と言われる。
ジャンヌ博士の死後に、現地を視察した研究チームから、すでにこの寄生虫は絶滅していたと発表され、現在に至るまで研究が再開されることもなく、未だに論文の真相は明らかになっていない。
長寿薬は人類にとって永遠のテーマであることから、長寿を得る代わりに子孫繁栄を失うこの薬の事を、まさに人類のトレードオフだと話題にされてきた。現代においても、いくつもの論文で紹介されているが、その多くは悪い意味で引用される。
ウィキフィディア(Wikifictdia)より引用
