「え?、どうしました?、、、、、あのぉ、、僕もお願いしていいんですか?」
やる気満々の上野が、自分の息子をしごきながら催促する。
「古賀さん、、これは、いったい、なんなんですか?、、この最高の状況は?」
突然のことに、上野がニヤニヤしながら、先輩に尋ねる。
「いやぁ、俺もびっくりなんだけど、、俺が入ったら、この人が中でオナっててさぁ、、黙ってるお礼に中出しされてくれるって言うから、、」
古賀が頭を掻きながら、照れくさそうに言う。
「何それ、、そんな事をあんの?、、ただの淫乱なだけなんじゃないの?、、カーテン開けて誰か確認しましょうよ、部外者だったら不法侵入ですよ」
上野の言葉に、万理は一気に血の気が引いていくのが自分でもわかった。
「え、、いや、そんな、、、違います、、これには訳があって、、」
万理はその場で身を固くする。
「あれ?、、この声って、八栗先生じゃないですか?」
空気の読めない上野は、ズケズケと思った事をすぐ口にするところがある。
万理は、絶望感でその場にうずくまり、何も喋れなくなってしまった。
「バ、バカ、、八栗先生が、こんなことする訳ないだろ、、人違いだよ、、」
古賀が、口に人差し指を付けて、黙ってろと合図した。
「・・・・・・」
古賀が上野に耳打ちして、知らないフリをしろと伝える。
上野は、やっと状況を理解したようだ。
「そ、そうか、、、八栗先生がこんなことする訳ないか、、、」
2人の男は、全く喋らなくなったカーテンの向こう側の万理の様子を耳をすませて伺う。
「・・・・・・」
万理はその場でうずくまり、軽いパニックに陥っていた。
古賀と上野は顔を見合わせ、心配そうに万理の気配を伺う。
「まさか、、、八栗先生な訳ないですよ、、、、、あっ、ほら、上の階で、被験者の女性が10人くらい来てるでしょ、、、あの被験者のひとりじゃないですかね、、、、、」
上野が古賀にウインクして言った。
「ああ、そうだ、そうだ、、確か20代の女性を集めて、女性用の新薬の被験者が来てたわ、、、そこの方ですよね?、、、、」
二人は耳をすませて万理の反応を待った。
「、、、、、、、、、、、、えっ、、、、、は、、、、はい、、」
万理には選択肢は無く、藁にも縋る思いで二人の助け舟に乗った。
「ほらぁ、、、やっぱそうだよ、、確か塗り薬の検査だったから、終わってから上のシャワールームが混んでて、この階のシャワールームに来たんでしょ?」
二人は誘いに乗ってきた万理に安堵も表情で万理の逃げ道を作っていく。
「あっ、はい、、、そ、そうなんです、、、」
少し希望の光が見えてきた万理は、カーテン越しの映る二人の男性の影を見上げた。
「駄目だよぉ、、、ここは職員専用で男女兼用だから、鍵を掛けないで、男性が使う場合は『男性使用中』のプレートを、女性が使う場合は『女性使用中』のプレートをドアにかけるルールになってるから、、、」
「すみません、、私、、、し、知らなくて、、、」
鍵も閉めずプレートも出さないで男性を待ち伏せていた、自分自身の大胆な行動を改めて思い出した万理は、シャワールームの中でひとり顔を赤くしていた。
「それにしても、、、こんなところでオナニーしたり、、、中出しをせがんだり、、、貴女はいつも、そんなに淫乱なの?、、、」
カーテンの向こうの全裸の女性が万理だと知っている古賀は、シンプルにそのことが聞きたくて質問がポロリと出た。
「えっ、、、そ、そんな、、、淫乱というか、、、、これには訳があって、、」
慌てる万理だが、相変わらずウソの言い訳がうまく出てこない。
オテイ虫のことがバレる訳にはいかない万理は、頭をフル回転させて言い訳を考えた。
「ふーん、、訳ねぇ、、、新薬の影響とかかなぁ、、それだったら担当の先生に報告しないといけない契約になってない?、、、」
この状況を楽しみだしたS気質の上野が、慌てる万理をからかうように質問を重ねた。
「いや、違います、、、えっと、、、その、、、、淫乱というか、、、、、」
普段から女性扱いされることさえ拒絶してきた万理にとって、『淫乱』という言葉を口にすることすら悍(おぞ)ましいことだった。
しかし、今の万理にはこの場を凌ぐための言い訳が思いつかない。
「、、、、そ、そうです、、、い、淫乱なんです、、、私、、ときどき中出しして欲しくてたまらない時があって、、、、」
万理は、淫乱な女性を演じる覚悟を決めるしか選択肢が無かった。
「そうゆうことなら、さっき了承してもらった通り、こいつもやる気満々だから、お願いしてもらってもいいですかねぇ?、、、、」
オテイ虫に思考を支配されていた時に、自分から上野に中出しされることを了承してしまったことを思い出し、万理は身体が震えた。
と同時に、これからまた中出しされることを想像することで、先ほど古賀に射精された時の甘美な快感が脳内で蘇る。
「は、、、、はい、、、」
精子を捕食したオテイ虫が活動を休止して、正気に戻ってしまった万理だったが、身体の奥底ではあの射精時の快感を求め初めていた。
オテイ虫が活動中に受ける快感は麻薬のように万理の身体を蝕(むしば)んでいたのだ。
それ程までにオテイ虫が与える気持ちよさは、忘れられないほどの大きな快感を万理の身体に刻み込んでいった。
万理は夢遊病者のように、カーテンの裾を持ち上げながら立ち上がった。
カーテン越しの影の動きを見ながら、古賀と上野は顔を見合わせる。
しかし、お尻を突き出し、さっきと同じポーズでカーテンの下からお尻を出そうとしたところで、万理の動きが止まった。
「・・・・・・」
先ほどまでの大胆な行動とは打って変わって、万理の頭の中に羞恥心が駆け巡る。