混乱した真弓に、典子が思い詰めたように話しを続ける。
「これね、裸を見られたい女の人が、裸の写真を投稿するサイトなのね、、、最初にこのサイトを見つけたのは、高校生の時なんだけど、、最近、、私もこういうことしたいんじゃないかと思って、、、」
典子は、無言のままサイトのページをどんどん開き、羞恥な写真を何枚も見ている。
静寂の空間に耐えられなくなった典子が真弓の顔を覗き込む
「ねぇ、真弓、、、私、やっぱり変だよね」
真弓が重い口を開く。
「私は、こんなこと考えもしなかったけど、、、でも、、女の子なら少しはこういうとこ、あると思うよ、、、、、私も、小学生の時にね、、親戚の子供達がいる前でお母さんに水着に着替えさせられたんだけど、男の子の前で裸にされて変な気分になったもん」
真弓は、典子の気持ちを楽にしてあげたい一心で記憶の中から似たような経験を探し出した。
しかし、真弓はその時、自分自身もこれまでそのような衝動を理性で押し殺していたのかも、とそんな感覚が脳裏をかすめた。
実際、ダンスの衣装を露出の多いモノを選んだ時に、小学生の時に自分の裸をチラチラと覗き見る親戚の子供達の顔を思い出したことも確かだった。
「うん、、、やっぱり、私もこういう欲求あると思う、、、あっ!、、、ノリぃぃ?、、それでいつも、裸で、窓際にいたりしてたのぉ?」
「え、ち、違うよ、、、でも、少しあるかも、、やーもう、恥ずかしいー、、、、初めて人に話したー」
典子は、真弓が理解してくれた事と、同じような感情が他の女性にあるのだと安心し、表情が明るくなった。
「ねえ、ノリ、これどう?」
真弓がサイトに投稿された露天風呂の写真を指差し、勝手に話しを進める。
「混浴の温泉を探して一緒にいかない?、、、混浴なら、裸を見せても怪しくないし、簡単そうじゃね?、、ね、行こうよ混浴露天風呂」
典子は、内心ドキッとした。
やるなら混浴だと典子も思っていたのだ。
「うん、でも、いいの?、、、、真弓は?」
「うん、なんかちょっと興奮してきた、、、これで私まで癖になっちゃったら、ノリのせいだからねっ!」
典子は、目をキラキラさせて真弓を見つめて、何度も頷いた。
「でも、女の子だけってなんか危険だよね、、、誰か男の子も連れて行こうよ、なんかあった時にその方が安心じゃない?」
既に、頭の中でいろんなシミュレーションが始まった真弓は、囲まれた男性に輪姦されている場面を想像していた。
「誰かいない?、、一緒に連れて行けそうな男、、、、ほら、思い出して、、」
真弓は、左上の方を見上げながら、今まで知り合った男性を振り返る。
典子も隣に座りなおし、同じようなポーズで過去の男を脳内検索する。
「まず、サークル関係は消し、、大学関係も、、、中高の友達?、、、、、、いやぁ無理、、合コンで知り合った男は?、、、、、、どれもなぁぁ、、、関係が浅い方がいいわよね、、、、今度のフラッシュモブ関係?、、ダンサーの男の子?、、、、、、ちと、チャラいよね、プロデューサーの後藤さん?、、、、、、、ん~、、」
真弓と典子は、ダンスができるという事で、OBが関わっているフラッシュモブの企画会社を、たまに手伝う事がある。
フラッシュモブというのは、サプライズプロポーズとかで、男性のプロポーズを合図に、レストランの客に扮したダンサーが音楽に合わせて歌いながら踊りだすアレだ。
「新婦側の仕掛け人の山田さんは?、、、、、、彼、確か、都内の大学の同い年、、、」
今週末に予定されているサプライズプロポーズの予行演習で、新婦側の仕掛け人として参加した新婦の弟の山田と2人は既に面識があった。
「、、、、、、、いやー、ないないないない」
2人が笑いながら声を揃えて言った。
大人しく覇気がない山田は、学校でイジメられてそうなタイプの男の子だった。
その週末、明日のフラッシュモブの舞台となるレストランで、真弓と典子そして山田の3人が打ち合わせをしている。
「そしたら、段取りは大丈夫そうですね、では明日はよろしくお願いします、、、、、あ、せっかくだから、ここで食事していきませんか?僕がご馳走しますよ、夕食まだですか?」
山田が、キャラに無い積極的な態度で2人を誘う。
「え?、、、あ、はい、まだ食べて無いですけど、、、、」
真弓は、山田の意外な一面にキョトンとして答えるが、ここの看板メニューのオムライスは確かに気になっていた。
「すみませーん、もう一度メニューお願いします、、やっぱりオムライスかなぁ」
山田は、勝手にウエイターを呼びメニューを受け取る。
3人は揃ってオムライスと、山田が取り分けられるようにサラダを注文した。
